ぷよSUN CONFLICT!?
前回のあらすじ:今回の解説者、バン。
えーとぉ…太陽が急に大きくなった原因を探るべく遺跡調査に赴いた
キャス、ティティス、ジョシュア、セイニー。
しかぁし、遺跡にあった変な石のアーチに、みんな吸い込まれて
しまったぁ!これから、この四人はどうなってしまうのかぁ!!
…おーい読んだから、ここから出してくれよぉ…ここ、どこなんだよぉ〜〜!!?
(バン、森の中で迷子中)
〈第弐話〜キャスvsスケルトンT〉
「にゃ…にゃん…?」
じりじりと焼け付くような暑さで、キャスは目覚めた。
「こ…ここはどこなのにゃん…?み…みんなは…だにゃん…?」
キョロキョロと辺りを見回しながら立ち上がる。
そこは、草原だった。木がまばらに立っており、遠くの方には、青い海が見える。
一度も、見た事がない…見覚えの無い風景。
しかも。
「あ゛…あ゛つ゛す゛き゛る゛に゛ゃ゛ん゛…」
そこは、さっきとは比べ物にならないほどの暑さだった。
とにかく太陽がデカい。デカすぎる上に、目のようなものまで付いている始末。
先ほどの太陽がテニスボールくらいの大きさなのなら…今は………なんなのだろう…?
キャスは慌てた。
「な、なんでキャスはこんなトコにいるにゃん?た、確か、ティティス達と遺跡にいってー
それで、気持ち悪くなってー、変な文字みつけて……それから……あ!!」
そこでハタッとキャスは思い当たった。そもそもの原因と、ここがどこなのかを…
「そーだにゃん!!それで変な石のアーチに吸い込まれたんだにゃん!!
ということはだにゃん!!ここは…『囲怪』なんだにゃん!!!」
漢字がちょっとばっかし間違っているような気もするが…まあとりあえず。
「じゃあ…じゃあみんなここに来ている“かのーせー”が高いにゃん…
よぉーしっ!!そうと分かればみんなを探して、ついでにこの太陽ちっさくするにゃん!!!」
キャスは意気込んで走り出した。
が…しかし!
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛…も…もうダメにゃん…」
一分も立たないうちにキャスはへたり込んでしまった。無理も無い。
この炎天下で走ろうとする方が無茶なのだ。それぐらい、暑さは尋常でなかった。
「う゛う゛う゛…の…のどが乾いたにゃん…み…水が欲しいにゃん…」
バタッと倒れてキャスは呟いた。水筒の水は、自分の分は遺跡に来る前に全て飲みつくして
しまったし、ここには、水らしきものはない。
「き…キャスはここで…死んじゃうのかにゃん…?」
らしくないことをぼやいた、その時。
「おまえさん、のどが乾いておるんじゃな?」
いきなり後ろから声がした。
「そ…そうだけど…だ…誰にゃん…?」
おそるおそるその声のした方に首を向けてみると…
「…………。ぎゃあああああっ〔スケルトン〕にゃーんっ!!寄るなにゃん!!触るなにゃん!!
『マッハショーーーット』!!!」
「うっひゃーーーーっ!!なにをするんじゃああああっ!!」
全身骨男を見た瞬間、キャスはショットナイフを思いっきし投げつけていた。
骨男は、突然の攻撃に意表をつかれ、仰け反る。
その様子にもお構いなしにキャスはショットナイフを投げ続けた。
「ええいっ!!わしはスケルトンはスケルトンでも、『スケルトンT』じゃあっ!!」
ピタッ
骨男の渾身の叫びに、キャスの攻撃が止まる。
「にゃん…?『スケルトンT』…にゃん…?」
「そうじゃ!!骨の中の骨!男の中の男!!その名も『スケルトンT』じゃ!!」
自身満々に胸を張るスケルトンT。キャスはそんな骨男をまじまじと見つめ…
「そ…それじゃあ『マッハショット』くらいの攻撃じゃ効かないってことにゃん…!?
もっ、もっとすごい技を出さなきゃ倒れない…そういうことなのかにゃん!!
よーしっ!分かったにゃん!!ここは一発ドカンと大技を…」
「おちゃーーーーっ!!違うっちゅーにぃーっ!!そうじゃのーて、
わしはおまえさんを攻撃するつもりは、お茶の葉ほどもないんじゃ!!」
はあはあと全身の骨を震わせてスケルトンTはまたも叫んだ。
瞬時、きょとんとしたキャスが言葉を出す。
「…にゃん…?ホントかにゃん…?じゃあ、なんでキャスに近づいたにゃん??」
「それは、おまえさんが道の真ん中で倒れとったからじゃ。それに、ほら、
喉が乾いたとか言っておったろう?じゃから、わしの特製ブレンド茶を飲まそうと思って
声をかけたんじゃよ。」
ゴソゴソと湯飲みをどこからともなく取り出して、キャスに渡す。
「にゃ…にゃん…?ほんとにこれ飲んでいいのかにゃん…?」
「おお、いいともいいとも。わしのお茶はうまいぞー、飲めば、体中から力がみなぎってくる!」
「…でも…これ、熱いにゃん…こんな暑い中、これ飲んだら反対に倒れちゃうにゃん…」
確かに、キャスの手に収めてある湯飲みからは、湯気が立ち上っている。
「ちっちっちっ、それが素人の浅はかさよ。こういう暑くて汗が出る時にこそ、熱いお茶を
飲むに限るんじゃよ。そうすると、喉の渇きも治まるんじゃ。
反対に冷たいのを飲んだ方が逆効果になってしまうのじゃよ。」
指をふりふりスケルトンTは語る。そんな骨男の様子を怪訝そうにキャスは見ていたが、
何分喉が渇き過ぎていたため、結局そのお茶を飲む事にした。
「じゃ…いただきま〜す…にゃん」
ごくごくごくごく…
しばらくしてごくん。と飲み干す音が聞こえたかと思うとキャスの顔がパアッと明るくなった。
「…ほんとだにゃん…美味いにゃん…!!なんか力が湧いてくるようだにゃん!!」
「うんうん。そうじゃろう、そうじゃろう。」
「ありがとにゃん!!おまえ、魔物なのにいい奴にゃん!!」
「おいおい…魔物だからといって悪い奴ばっかりとは限らんのじゃぞ…分かり合える奴もいるんじゃ。
…ところで、今の様子からしても、おまえさんはどうもここの国の出身じゃないようじゃのう。
一体全体、どこから来たのじゃ?」
スケルトンTの質問に、キャスはハッと我にかえる。
「えーっと…キャスはエステロミア王国ってトコから来たんだにゃん!!
太陽が急におっきくなったから、その太陽を元に戻しに仲間と一緒に来たのにゃん。
仲間とははぐれちゃったけど、多分ここにいるにゃん。
おまえは、なんであの太陽がでっかくなったか知ってるにゃん?」。
キャスの指差した太陽を見上げ、スケルトンTは顎に手をあてて言った。
「おお、それなら多分、サタン様…いや、この国の魔王様が、大きくしたんじゃろうて。
なんの理由かはしらんが…ま、大した理由じゃないのは確かじゃ。
…しかし…そうかそうか、おまえさんは異界から来たという訳じゃな。
それでそのエステ…なんとかという国には、お茶はあるのか?」
「『エステロミア』にゃん。お茶はちゃんとエステロミアにもあるにゃん。
でも…キャスはお茶よりジュランの作った『ジュラン特製、魚のすり身ジュース』の方が
好きにゃん。」
何気なくいった言葉だった。しかし、その言葉は…言ってはならない禁句だったのである!
「ほうほうお茶はあるのか………ってにゃにいっ!?おまえさんはお茶よりもジュースが
好きなのかぁっ!?」
「そ…そうだにゃん…」
さっきまで頷いていたスケルトンTは急に声を荒げる。
唐突なことにキャスはびくっとおじけづいた。
(キャス…なんか悪い事いったにゃん…?)
しかし、時すでに遅く…
「なんたることじゃっ!!全く…今時の若いもんは茶の素晴らしさを知らんのじゃから…
よしっ!分かった!!わしがとくと聞かせてやろうっ!どんなに茶が優れた飲み物なのかを!!そもそも茶というのは…」
そういうと、スケルトンTはとくとくと語り出した。しかも道に座布団まで出して。
「にゃ…にゃん…き…キャス…もう行かないと…」
「まてぃっ!!話はまだ終わっておらぬぞぉっ!!」
そろりそろりと後ずさりするキャスの手をスケルトンTは、がしいっ!と掴んだ。
そのまま、座布団の上にキャスを座らせ、また延々と話を始める。
逃げたくても、手がしっかりと掴まれているので逃げられない。
(うう…なんかバルドウィンの説教聞いてるみたいだにゃん…)
キャスは某老僧侶の顔を思い浮かべた。
話は、まだまだ終わりそうでは無い。
そんな中、太陽だけは相変わらず、ギラギラと光を撒き散らしていた。
★今回の教訓★
口は災いの元。