ぷよSUN CONFLICT!?
〈第壱話〜異変〜〉
カラカラに干からびた地面に、砂埃が舞う。
「…ここが遺跡ね…」
ティティス達第一部隊は、目の前にある建物を見据えた。
如何にも古そうで、色褪せている。いつ崩れてもおかしくないような建物である。
遺跡の前には、色褪せた石のアーチが立っていて、そこだけは、草も生えていず、
しっかりと建っていた。
「それにしても、暑いわね…ここ。外に出た時も死ぬような暑さだとは思ったけど…
それ以上だわ…下手に気を抜くと倒れちゃいそう…。」
ティティスが額に手を当てて、辛そうにいった。
足元は、蜃気楼でゆらゆらと揺れているように見える。
「そうだね…あ、やっぱり…遺跡から何か変な強大な光が太陽に向かって伸びている…
ここが、大きくなった太陽の原因なのは、まず間違いないね。」
ジョシュアが遺跡の頂を見て、呟くように言う。実際、光の帯が柱のように、一直線に太陽に向かっていた。
「え?どれどれ??わー!!ホントだー!!なんだか、とてつもない力を感じるねー。」
「…セイニー…よくこんなに暑いのに元気でいられるにゃん…寒いのにも平気だし…
一体セイニーの体はどーなってるにゃん!?」
半ば呆れてキャスが声を上げた。
「んー?別にどーもなってないよー。まあ、昔はいろんな所旅してたから、
暑いのにも、寒いのにも、慣れちゃったのかもねー。」
あははっと笑って言うセイニーは、この状態でもピンピンしている。
「慣れるってのにも限度があると思うにゃん…う…もうキャスはダメにゃん…
あそこのアーチで一休みしておくにゃん…」
げっそりとした顔で、キャスはアーチに向かってトボトボと歩いていった。
意気込んではいたものの、やはり小さな体には負担が大きいようだ。
その後ろ姿を見ながらティティスが口を開く。
「それにしても、これからどうしようかしら…セイニーはともかく、
キャスはあーだし、あたしも長くは持ちそうに無いわよ…。」
疲れたようにティティスが言った。
エルフは炎が苦手だからか、暑さにも弱いようだ。
「このまま任務を続行した方がいいかもしれないけど…ティティス…リーダーが
そうだし、この暑さの中じゃ、僕も長くは持たないと思うから…一度出直した方が…」
と、ジョシュアが言った時、
「あーっ!!だにゃん!」
突然キャスが声をあげた。
「何!?どうしたのキャス?なんか手がかりでも見つけたのっ?」
タタタタッと小走りに、三人はキャスのいる石のアーチに駆け寄った。
キャスは、アーチの、ちょうど自分の目線がある所を指差して言った。
「ほら!!これを見るにゃん!!なんか書いてあるにゃん!!」
そこには、うっすらと刻み文字で何かが書いてあった。
「何コレ…今の文字じゃないみたいだね…古代文字かな?読めないよ…」
「う〜ん…僕にも読めないな…ティティスはどう?」
悔しそうにしているセイニーの横で、食い入るようにそれを見つめているティティスに
ジョシュアは話しを振った。
「太陽と隧道(ズイドウ)が重なりし時…」
『え?』
「『太陽と隧道が重なりし時、門の前に出で、思いを開放せよ。さすれば、異界への扉開かれん』
…って書いてあるわ…。」
ティティスは文字をなぞりながら、ゆっくりと解読した。
それを見ていたキャスが驚く。
「にゃ…にゃんでティティスは読めるにゃん!!?」
「ああ、エルフの村にいた時、耳にタコ…っていうか、イカができるほど
教えられた古代文字だったのよ…でも、まさか、こんな所で役に立つなんて…。」
「でもさー、いまいち意味が分かんないねー。『隧道』ってナンダロ?」
首をひねりひねり、セイニーが言った。
「『隧道』っていうのは、トンネルの事だよ。
…話しの内容からすると、“門”っていうのは、この石のアーチの事で、
“隧道”っていうのは、この遺跡の事のような気がするけど…」
「えっ!?じゃあ、隧道…遺跡と太陽が重なるってことは…ちょ…ちょうど今のことじゃない!!」
ジョシュアの考察にティティスがうわずった声で上を見上げた。
確かにティティスが言ったとおり、今現在、太陽と遺跡の頂はぴったり重なっている。
さすが小説だ。話しが早い。
「でででででも、どーすればいいのよ!?思いをぶつけるって何?
異界ってどこーー!!?」
「お…落ち着いてティティス…」
「なるようになるよー!!」
一人パニックに陥っているティティスを、ジョシュアとセイニーが諌める。
しかし、キャスは…
「ええいっ面倒にゃん!!つーか早く暑いの無くなれにゃん!!
もーなんでもいいから太陽をでっかくしてる奴のとこに連れてくにゃーーーん!!」
とアーチに向かって叫んでいた。すると、
ぐにゅん…
と、みるみる内に空間が漆黒色に歪んでいき…
「にゃ…にゃん!?なんだにゃーーーん!!」
「キ…キャス…!?うっうわーーっ」
「な…っわわわっ!!」
「ちょっちょっとなんなのよーーーっ?!」
抵抗する間もなく、四人とも漆黒の渦に呑み込まれてしまった。
「にゃ…にゃーーーん!!?キャ…キャス達どうなるのにゃーーん!!」
その言葉通り、一体、キャスたちはどうなってしまうのだろうか!?