ぷよSUN CONFLICT!
一言忠告*これは、「ジオコン」と「ぷよぷよSUN」を混ぜた小説もどきです。
なので、そういうのがお嫌いな方は見ない方がいいと思われます(汗)
間違って見たからといって、作者に石つぶて…もとい苦情はしないでくださいね。
作者、気が小さいので…。よろしくお願いします。
(でも、1、2回目はジオコンキャラだけ…)
〈〜序章〜 事の始まり〉
ジリジリジリジリジリ…ミーンミーンミーン…
太陽がギラつく音と、セミの大合唱が聞こえる。
「あ゛づ
い゛に゛ゃ゛ん゛…」
たまらずキャスが叫んだ。
今は、夏。
エステロミア王国にも、例年のようにそんな季節がやってきた。
晴れ渡る、青い空。遠く離れた山にかかる白い入道雲…
それは、少なくとも例年と同じだった。そう…それだけは。
「なんかさ…今年の太陽、異様にデカくない?」
ティティスが窓から身を乗り出し、少しでも風が来るように手をパタパタさせて、
誰ともなく問い掛けた。
「ああ…デカいな。」
「デカいわ…。」
「デカいにゃん…」
みんな異口同音に応える。
そう、今年の太陽は、誰がどーみても、デカかった。
毎年、豆粒くらいの大きさだったとすれば、今年はテニスボールくらいの大きさだ。
と言えばお分かりになるだろうか。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛づ
い゛に゛ゃ゛ー゛ー゛ー゛ん゛!!!」
またキャスが叫んだ。実際、部屋の温度計は41度とかいう強烈な数字を示していた。
部屋の中がそうなのだ。それが外となったら…
「まったく、だらしないぞ。キャス。『心頭滅却すれば火もまた涼し。』というじゃろう。
“暑い”と思うから暑いのであるからして、思わなければよいのじゃ。」
「んなこと言ったって、暑いものは暑いんだにゃん!!それに、バルドウィンだって
汗が滝のよーに出てるにゃん。」
確かに、バルドウィンの額には、大量の汗が滲み出ていた。慌ててバルドウィンが言い返す。
「こ…これは汗ではないんじゃ!そ、そう、こっ心の汗なんじゃ!」
「にゃん?心の汗っ・・・やっぱり汗じゃないかにゃん!」
「ぐっ・・・そ、そうではなく、心の汗とは・・・」
キャスが突っ込めばバルドウィンは更に言い訳を重ねる。
言い争いは絶え間なく続きそうだった。
「はいはい。そこで言い訳はおしまい。くだらない漫才なんて聞いてると、
もっと暑苦しくなっちゃうわ。」
ミロードがバルドウィンを遮った。何気に毒舌である。
「…あれ?そういえば、ジュランさんがいらっしゃいませんが…
どうかなされたのですか?」
辺りを見回しながらシャロットが心配そうに聞いた。
「ああ、ジュランなら、王宮よ。なんか、部屋の空調が壊れたとかで、
駆り出されたのよ。今ごろ、歩くクーラー扱いになってると思うわ。」
「クーラー…って…。あれ?だったら、ミロードは行かなくていいの?
仮にも魔術師なのに…。」
「仮にも…って…ハヅキ…あなたねぇ…。まあいいわ。
冷気系も使えるけど、私はどちらかと言うと、炎系が得意だから、
来なくていいって言われたのよ。ジュランで事足りるからって。
ま、それは建前で、人件費の節約なんじゃないのかしら。
二人も雇うと、給料もそれなりにかかるでしょ。」
ミロードが面倒くさそうに髪を掻きあげた。
どうも、暑いのが要因で機嫌が良くないようである。
それを見ていたアルシルが、思案顔で言った。
「しかし…本当に変ね…。こんなに太陽が大きくなるなんて…
調べてみたけれど、過去の文献にもこんな異常な事は…。」
「まあ、いーんじゃないの?お陰でここ最近全然魔物が出てないし…。」
一人、こんな暑さにも関わらず元気なセイニーは、どこかのんびりとしている。
「いいとは言い切れないわよ。この太陽のお陰で、湖が干上がったりしているから、
渇水対策に井戸を掘ったりする任務が増えているし…。
このままだと、『エステロミア傭兵団』じゃなくて『エステロミア土木工事団』に…」
「そ…それだけは嫌だぞ!!『土木工事の親父』なんて、死んでも言われたくねぇー!!」
アイギールの考察に、ガレスは頭を抱えて絶叫する。…過去に何かあったのだろうか?
「あ゛―゛もうガレスうるさいにゃん…。暑いにゃん。喉乾いたにゃん。
誰かどーにかしてにゃん!!!」
キャスが雄叫びを上げた時、ガチャっとドアが開いてジョシュアが入ってきた。
ジョシュアは、今日の当番で団長に任務を受けに行っていたのだ。
「お帰り〜、ジョシュア。今日の任務はどんなのだった?また井戸掘り?」
ティティスが最初に声を掛ける。
「うん…それが…」
『遺跡の調査!?』
10人の声が見事に重なった。
「こんな時期にか?」
ガレスの問いに、腕組みをしてジョシュアが応える。
「うん。なんか、最近発見された遺跡なんだけど、そこから妙なオーラが太陽に向かって
出ているらしいんだ。
それが、今回の太陽が異様に大きくなっているという現象に何か関係があるかもしれないから、
調べて来いって、国王直々に通達があったらしいよ。」
「へえ…国王直々にねー…。大層なこったな。」
「それで…その任務に行く傭兵は?」
アルシルが促す。
「えっと…僕とセイニーが前衛。後衛はティティスとキャス。そして、リーダーはティティスだって。」
「えーっ!?あたしも行かなくちゃ行けないの?しかもリーダーで!?」
「そうだにゃん!!キャスは外に行きたくないにゃん!!暑いの嫌にゃん!!」
途端にギャラリーから不満の声が上がった。その声をどうどうと抑え、ジョシュアが話す。
「まあまあ二人とも落ち着いて…このまま暑いままじゃ嫌だろう?だからこそ、
探索に行って、原因を突き止めないといけないんじゃないかな。」
しばしの間。
その内、ふうとため息をついてティティスがいった。
「…まーね…この尋常じゃなく暑いのからは、早く開放されたいし…。
行くしかないわよね…。」
「でもキャスは嫌にゃ〜ん!!だれか他の人が行くにゃ〜ん!!」
諦めたティティスに対し、尚も反抗し続けるキャス。しかし、それも次のバルドウィンの
一言で覆された。
「まあ、キャスがそんなに行きたくないのなら、団長に言って、わしが変わっても
良いが…しかし、いいのか?キャス。
おまえさん、前の任務の給料、菓子につぎ込んで、今月ピンチじゃなかったのか?
これじゃあおまえさんの好きな菓子も当分買えそうにな…」
「なにしてるにゃん!みんな!!早く準備するにゃん!!さっさと遺跡探索にゃ〜ん。」
バルドウィンの言葉が終わらない内に、キャスは戸の外へと飛び出していた。
そのキャスの後ろ姿を見たティティスが一言。
「さすが、バルドウィン…だてに年食ってないわね…」
「ほっほっほっほっほっ。」
後は、バルドウィンの笑い声が部屋に響いたという。